…  D R E A M   C A T C H E R  …
 
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y o u r d r e a m s
 

『シメシメの箱』

BY

松本小銀杏さん


 

 小学生の僕。給食が終わってからの掃除をしている時に、先生がクラスに入ってきて、5時間目の図工はクラスの皆で塗り絵をするとのこと。僕は柄の異様に短いホウキで掃除をしていた。クラスの図工委員数人が図工室に色鉛筆を取りにいくよう命じられ、教室の外に飛んでいった。

 僕は掃除時間にトイレに行くのを忘れていたので、授業までにすませようと向かう。そのつもりがなぜか、別棟の図工室にいってしまっていた。図工室は屋内の神社みたいになっており、廊下から石階段が奥に続いていて、途中には小さな鳥居もある。

 僕がそこについた時に、女の子が一人出てきて、鍵の付いているが錠前のついていない、黒い色鉛筆の箱を一つ手渡してくれる。

 その子は見たことのない子で、服装も僕等の年代とは違っている。小学生なのにセーラーフクを来ていて、おかっぱ頭。眉毛はなぜかそり落としているようで、かなりオッカナかったが、色鉛筆をくれたので、クラスの子なのだとなぐさめた。

 その場で色鉛筆の箱を開けてみたら、鉛筆の変わりにいろんな虫がきちんと整頓されて入っていた(台のプラスチックもその形にプレスされたものが入っており、この形で市販されているようだ)。学校中のみんなが使っているせいか、トノサマバッッタの足は折れ、てんとう虫は2/3ぐらいになっている。キリギリスは二匹いて、兄弟なのだと思った。

 蓋を開けた時から時間が経って、虫の体の色がダンダン濃くなってきた。冬眠から覚めているのだろうか。

 足元がジャリの為、手元がずれた拍子に、キリギリスの兄弟を地べたに落としてしまった。兄弟は離れたところに落ちたが、箱から出たことで完璧に覚めたようで、綺麗な緑色になった。覚めたといっても、動き回ることは出来ないらしい。信号を送りあって、挨拶をしているのはわかった。

 それをみて、クラスにいるU子が虫を嫌っていることを思いだし、早く驚かせてやろう、良い物が手に入った、としめしめ。兄弟を急いで拾い上げ、兄弟を箱の中にセットして、蓋を閉め閉め廊下を急いだ。