(03)
<寺門、龍についての本を読み漁る>
 

 さて、「龍」を描くことになったものの、果たして「龍」とは何だろう? いままであまり意識したことがなかったモティフだ。辰年のお正月の描き初めにそういえば、龍に乗る天使を描いたことがあったけ。それから1995年2月の博多・天神での展覧会場でのライヴペインティングにそういえば龍が大きく登場したっけ。震災直後のことだったし、その頃、神戸の足の下の地の底からは確かに龍の唸り声が響いていた。

 なんとなく日常の中にも、「龍」はたくさん登場するが、それがなになのかよく知らなかった僕は、まず、「龍」にまつわる本を探して、片端から読んでみた。

 それぞれの本に色色なことが書いてあった。たちまちにして僕は龍博士になったが、すぐに知識は忘れてしまった。龍の絵や彫刻、デザインなどの写真図版もたくさん見た。色んな龍があった。でも、今回、僕はどんな龍を描いたらいいのか、それらを見てもわからなかった。映画「千と千尋の神隠し」はとても好きで2回見た。ハク、という龍が出てくる。すごくリアルで、ああこんな龍を僕は知ってるなあ、と漠然と思う。幼い頃から僕は神社やお寺とかが好きで、また昔話や伝説とか、宗教的な儀式とかおまじないとかが好きだった。そんな中で、「龍」にもたくさん出会ってきたはずだ。

 大好きな泉鏡花の世界にも龍がいる。それから、コレクションしていた他人の夢、そんな中にも印象的な龍が登場していた。僕の夢に龍が出てきたことは、あったんだっけ? どうだったかな? 大切なのは「気配」だろう。知識や、カタチよりも。

 突然、楳図かずおの漫画がむしょうに読みたくなり、買い漁っては読破。幼い頃からなんどもなんども、ときどきむしょうに読みたくなっては読んできた。龍は出てこないけれど、僕の中ではなにか繋がるような。まんが日本昔話のTVのオープニングになんともゆったりした龍がそういえば出ていたっけ。あの歌、あの番組が好きだった。毎週みていた。

 毎日毎日、とりとめもなく、「龍」を思ったり、思い出したりしている。



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