Back Number 19991008

 

 ちょっと前の話ですが、おおたか静流さんから電話で知らせていただいて、TVで「鉄塔武蔵野線」という映画を見ました(おおたかさんの歌が映画の中で流れます)。前から見たいと思っていたのですが、実によかったですねー。

 夏休みに小学生の主人公が鉄塔にそれぞれ番号がついていることを発見して、1号の鉄塔をもとめて冒険していくとてもシンプルな内容なんですが、子供を主人公にしてても全然甘くなくって、夏休みが終わっていく空気感がすごく出ていて、TVにもかかわらず引き込まれてしまいました。

 そもそも、僕も「鉄塔」が大好きなんです。映画では、鉄塔を主人公の父親との思い出とつなげてどこか温かい(?)ものとして描いているのですが、僕にも鉄塔とか電線とかをロマンティックな存在と感じる気持ちが今でもあります。写生で風景を描くときにも、電線とか電信柱とか、鉄塔とかを好んで入れたりしていました。

 そうそう、今年の6月に沖縄・竹富島へ行ったのですが、僕、そこで、電線を電気が流れる音を聞きました。島の人にそう言っても首をかしげて心配そうに見られてしまったけれど、ぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢ…と、僕には確かに聞こえるのです。夕刻、辺りは群青色に沈んできて、さほど高くはない鉄塔〜電信柱〜電信柱をすこし垂れながら結んで走る電線を、僕はぢっと見上げていました。家に灯りが点り始めます。ぢぢぢぢぢぢぢぢ…と電線を電気が流れる音が聞こえます。傍らの大きな木のシルエットのてっぺんからバサアッと大蝙蝠(オオコウモリ)がびっくりするほどの大きさで翼を広げて飛び立ちました、ひゅひゅひゅひゅ…と怪音波をたてながら…。こんな時、人の造ったモノがたまらなく愛しく感じます。

 次の朝、電線をしっかり入れて、その辺りの光景をスケッチしました。泊まった宿の人に誉められました。電信柱がよく描けてると言って…

 10月8日、金曜、曇り。

 “てんらんかい”のページが充実してきました。“NOW”の主な展示作品で31点も絵を見ていただけます。ぜひのぞいてください。

 ぢゃ、またあした、from 寺門孝之

 
   
 

Days of Angels
天使のカレンダー

絵*寺門孝之 / 文*三枝克之

リトル・モア  ¥1500+税

全国書店にて10月上旬発売