Back Number 19991105

 

 絵とタイトル

 これも展覧会場などでよく受ける質問なのですが、「絵のタイトルはいつ、どのように決めるのですか?」について書いてみようと思います。

 僕の場合、絵と同様、「言葉」もとても好きなので、けっこういつも、使いたい言葉のストックがあります。で、そんな言葉にぴったりの絵がかけたとき、すかさずそれをタイトルに付けたりします。でも最近は、やはり絵の数の方がどんどん増えるので、なかなか言葉のストックが追いつかず、描き終えた絵をにらんで、タイトルをひねり出すこともままあります。ごくたまに、妻や友人が付けてくれてそれがそのまま定着することもあります(例「わくわくアットハート」)。それから、本の装画に採用されて、そっちのタイトルに乗っ取られちゃうってこともありますね。(特に町田康さんの場合などは、言葉がとっても強くて魅力的なので、たとえば「松葉相撲」は『へらへらぼっちゃん』、「祈りの放花」は『屈辱ポンチ』、「twilight prayer」は『つるつるの壷』と今は呼ばれ、元のタイトルはどっか飛んでっちゃいました。)

 画家によって考え方はマチマチでしょうが、僕の場合、絵と言葉があんまり即物的にひっつかず、微妙な関係でもちつもたれつしてくれるようなタイトルが良いのですが、むづかしいですね。願わくば、絵のタイトルがズラリと並んでいるだけでも、なーんかわくわくどきどきするよな、文字面のラインアップであって欲しいものです。

 さて、今回の“Days of Angel”展、どんなタイトルが並びますことやら……11月5日、金曜、晴れ、けっこう寒い神戸です。ぢゃ、また明日、あ、それから、今晩あたり、“奴凧”が増えてるかもしれません。さあ、誰が登場するでしょう、お楽しみに! BYE!

 
   
 

Days of Angels
天使のカレンダー

絵*寺門孝之 / 文*三枝克之

リトル・モア  ¥1500+税

全国書店にて10月上旬発売