Today's Terapika寺門孝之です。

Back Number 20030421

 

 2003年4月21日、月曜、晴れ。一転、冷たく強い爽やかな風の吹く肌寒い一日に。

 終日アトリエでお絵描き及び作業。昼食後、壁面の予習・復習にギャラリー島田へ。島田誠氏現われ福音を我に玉襟(賜えり)。曰く、「1階のギャラリー島田ドゥの壁面も使ってよろし」。

 今回「闇の妹」シリーズに絞った展覧会を構想し、天使などの他のシリーズを同じ空間に混ぜるのは止そうと思っていたのですが、1階のスペースが使えることになったので、そこへ色鮮やかな天使や油彩を並べることにします。天使絵を期待される方にも満足いただける展覧会が実現できそうです。多謝。

 ギャラリーの通信紙に載せていただくため「闇の妹」シリーズについて文章を書きました。ここから飛んで読んでいただけます。

 が、僕としては、まだまだこのシリーズについては言葉にしたくない、という思いがあります。言葉はとても強いもので、すぐに何かを代弁してしまい、その背後にあったかもしれない可能性の、それこそ「闇」を切り裂いてしまう、気がするのです。自分でひねり出した言葉が僕の想像力を限定し、無意識の闇に光のマンホールの蓋をして、あたかもその蓋が描きたかったものであるかのように、僕自身が振舞い始めてしまう、かもしれない危惧。

 なので、ここに書いてしまった言葉は、その時点でのシリーズのきっかけ、であり、予感である、ということに留め起き、これからもしばらくは、僕自身もココロして黙したいと、思います。

 ああ、けれど、展覧会が始まるとまた、言葉も湧いて出てきてしまうだろうなあ。

 先日のプーケット〜ピーピー旅行中、ピーピー島のホテルからボートで沖へ出、娘と釣をしました。

 僕は子供の頃よく祖父に釣へ連れてってもらい、けっこう得意だった記憶があるのですが、20数年ぶりの釣の結果は親子合わせて「0匹」というさびしいありさま。それも、すぐ目の前を金色の物凄い数の魚の群れがイルカの群れのように水面をジャンプしていくのが見えたり、また水鳥の群れもさかんに魚をキャッチしているのも見え、あきらかにこの水面下にはうようよ魚がいるのです、見えないけれど。

 2度、僕の糸に「引き」がありました。ビビ!ビビビ!と僕の糸は見えないところにいる力と繋がって。慌てて糸をたぐりましたが、すでに魚は餌をかじって逃亡。でも、手につたわる見えないものの手ごたえはとっても快感です。

 これは、僕が絵を描く時に狙ってる感じににすごく近い。初めに描こうと思い描いた絵、その意識を餌に、僕はもっともっと深くて大きななにものかを釣り上げられないものか、と絵を描きながらぢっと狙っているのです。

 まだまだ獲物はかかりそうでかかりません。手に、見えないものが引っ張る力だけは感じているんですけど。

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