Today's Terapika寺門孝之です。

Back Number 20030912

 

 2∞3年9月12日、金曜、晴れすぐに曇りさらにけっこう雨降り。

 午前中仕事。

 午後、映画『フリーダ』鑑賞。フリーダ・カーロの絵が随所に幻想的なシーンとしてアレンジされて登場していてはっとさせられるキレイな映像があった。

 が、ちょっとそういう合成画像のシーンが多過ぎて煩い気もした。フリーダを演じた女優が美しく、時折フリーダ本人の写真とぴたっと重なるような瞬間があり驚いた。

 が、なにか物足りない気持ちで会場を後にした。

 なんだろうか? やはり「画家」としてのリアリティがないからかなあ?

 もちろんフリーダのすさまじく劇的な人生にはうならされるが、同時にそれでもあれだけの絵を描いた人生でもあったはずで、画家の人生は絵を描いている時間の中に(も)or(こそ)ある。

 画家を主人公にした映画でいつもがっかりさせられるのは、結果的に「絵を描いてる時間」を再現(表現)できないからだろう。画家について知るにはやはりその画家の絵に取り囲まれてひとつひとつを凝視するより他に道はないように思う。

 フリーダの絵がすごく見たくなる映画であり、上手くタイミングを合わせて展覧会も催されるのだが、東京で見た限りではフリーダの作品が少なくって物足らない。仕方なく画集を開いているところ。

 帰宅後仕事。

 ややあって、夕刻、展覧会中の美術画廊ギャルリ・ムスタシュの案内で大阪天満相生楼・秋のカルチャーサロン「能楽」という催しへ。武田宗典氏をはじめ4人の観世流の若いシテ方の方が目の前で仕舞を舞われ、また装束を着ける様子などを実際に見せてくれたり、大変興味深く勉強になった。

 特に、ワークショップというのか、謡を観客みんなに指導してくれて実際に自分で声を出してみたのが大変よかった。

 普段声を出さないで過ごしているのでいつも声が小さく情け無い思いで暮らしているが、謡の声の出し方(全然できないのだが一生懸命先生をまねて)はなにか、ふか〜いところからなにかが呼んでいるような気にさせられる不思議な感じがした。

 ぜったい音階とかでは表記できないような節回しが実に魅力的。できればあんな声を出してみたいものだと思った。

 そのあと能楽師の方を囲んでのお食事会もあり、向かいにおられた観世流シテ方=林宗一郎氏にあれやこれやお話を伺って、これも勉強になった。

 彼は23歳だが、2歳半から修行をつまれているそうで、伝統芸の人の生きる世界は本当に違うものだなあ、と感嘆した。

 雨の中帰宅。今外は雷雨。

 明日は午後3時〜6時、画廊にいっています。よかったらお立ち寄りください。

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