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2007年06月28日

▼ 新宿三夜 ▼

6月24日、15:00新宿三越の8Fのジュンク堂書店児童書コーナーへ集合、ちょっとした打合せと「納豆の大ドンブリ」本のサイン業務の後、16:00やや遅れて穂村弘さんとのトークイベント、スタート。前回は版元編集者=H内氏の司会進行で絵本について主に話が進んだのだが、今回は穂村さんと2人きり。穂村さんと僕が全く同世代であることから、僕たちの世代と、僕たちが強く影響を受けた先行世代との比較、あたりから話が始まった。始まってしまうと、トークショーということも忘れてしまいけっこう穂村さんと個人的に話してるような気分になってしまい、色色聞きたいことを訊いてしまった。前回の時にはどちらかというと2人の共通基盤みたいなところに気持ちが行ったが、今回はむしろ違い・差異が強調されたように思う。世代よりも結局は個人だなあ、と思ったりしているうちに終了。終了後、関係者縁者集まって打ち上げ及びその二次会でおおいに盛り上がる。愉しい新宿の夜。

6月26日、楽市楽座の長山現氏が東京へ来ているので会おうということになって、新宿・花園神社界隈で待ち合わせ、地下へ潜る。チラシポスターのデザインをお願いしているベターデイズの大久保裕文氏と若手デザイナー=新井大輔さん、および僕がシュタイナーブックス、その他でお世話になっている出版社=風濤社の社長・高橋栄さんが加わり、打ち合わせから大きく逸脱して話題が盛り上がり盛り上がり愉しい新宿の夜が明けてしまった。ダメージド。
http://yaplog.jp/nagayamagen/

6月27日、愉しさにうっかりして夜を明かしたダメージでふらふらふわふわ・・・回復もままならぬうちに今日は、光文社文庫の表紙を描かせていただいた作家=赤江瀑氏が上京されるということで関連出版社3社による赤江瀑氏を囲む会が新宿にて催され、呼んでいただいていたので出席しに、またも新宿へ。赤江氏の小説世界のように時空がねじれて 切れたり 繋がったりしているような さっきまでいた記憶のある界隈にまた 自分がいてくらくらする。が、赤江瀑氏にお目にかかれ、この方からあの小説世界が立ち上がってくるのかと深く納得がいき、たくさん いっぱいの イメージと言葉を頂戴しました、多謝。愉しい新宿の夜を後にして無事ロキ帰還。明日は神戸へ。
(光文社文庫の赤江瀑三部作については4月5日の日記に書いています。以下からどうぞ。)
http://www.terapika.com/files/todaysterapika_files/2007/04/

2007年06月23日

▼ 納豆ドンブリが緑陰図書に認定!? ▼

先日、長めの神戸滞在からトドロキ画室に戻ると岩崎書店担当編集=H内氏からFAXが入っており、読んでみるとむむむ、なになに???・・・短歌絵本シリーズで僕が絵を担当した『納豆の大ドンブリ』が、全国学校図書館協議会により第40回「夏休みの本」(緑陰図書)に選定された?! ひぇい! ヤッホウ!!! この「夏休みの本」(緑陰図書)は過去1年の新刊書の中からすぐれたものを選び、各学校図書館で夏休みの読書案内を作成するための資料として利用されるそうだ。『学校図書館速報版』6月15日号及び全国学校図書館ホームページで発表、また『としょかん通信』7月号でも紹介し各学校に対して周知を図る、とのこと、わーい、さらに『毎日新聞』7月21日付朝刊(予定)の「夏の読書特集」(別刷り)に選定図書40点全ての解説が掲載され、広く読者に広報されることになっている?!って。ひょお~! あの「納豆丼」がねぇ~とびっくり! すごいです納豆パワー!
明日、16:00~新宿ジュンク堂書店のカフェで、ちょうど穂村弘さんと僕とで納豆丼トーク第2弾を開催するので、実に幸先のよいニュース!嬉しい限りです。ひさしぶりに穂村さんと会えるのが個人的にもたのしみですが、今回はどんな話になるのかな?
http://www.j-sla.or.jp/oshirase/2007summer_book.html
http://www.junkudo.co.jp/event2.html
納豆の大ドンブリ

2007年06月22日

▼ 新刊展望6/7 ▼

新刊展望の2007年度6月号7月号です。AD:北村武士氏
新刊展望_2007_06
新刊展望_2007_07

2007年06月20日

▼ 応挙~オオサンショウウオ~コウノトリ~丹波竜~空の卵 ▼

6月18日~19日、豊岡へ行ってきました。3月にここでも紹介しましたが、今年は秋(11月23~25日)に“日本文化デザイン会議2007兵庫”というイベントが予定されていて、僕も深く関っています。
http://www.terapika.com/files/todaysterapika_files/2007/03/
イメージヴィジュアルを担当していることは以前にも書きましたが、さらにそれを発展させてヴィジュアルストーリー~絵物語をいま構想中、できれば絵本のかたちにしたいと思っています。神戸で体験した1995年の大地震、2005年の豊岡でのコウノトリの放鳥~今年の野生コウノトリの赤ちゃん43年ぶりの誕生、昨年来発掘が進んでいる丹波竜・・・これらの事件が僕にはひとつらなりの物語であるように感じられるのです。時間をこしらえては取材を重ねてきましたが、いよいよ今回、雛がすくすくと育ちつつあるコウノトリの郷=豊岡へ!
まずは18日、これは個人的な興味で香住の大乗寺へ円山応挙他による障壁画の数々を見に。ここは近い将来レプリカに入れ替わって、原画を簡単には見られなくなるというふうに聞いていたので、現在どうなっているのか心配でしたが、レプリカ制作が遅れていてまだ秋くらいまでは原画と対面できるとのことでした。かなり焼けが進展してはいるものの、ナマでこんなに身近に解説付きで一度にたくさんの応挙一門の絵を見られて贅沢でした。有名な郭子儀図は色も鮮やかでびっくり!(写真はカタログから)
郭子儀図
後、豊岡へ移動。移動の列車車窓からすぐ向こうに流れる円山川のど真ん中を羽ばたきながら付いて来る巨鳥があり、コウノトリ! と思いおもわず下車、川岸で待つも姿を消してしまった。「ゑ」がしっかりとココロに焼き付く!
コウノトリ妄想デッサン
翌日早朝より、豊岡市役所の方々の案内で、まず2004年秋の台風23号の水害で円山川上流から流されたオオサンショウウオを保護しているニジマス養殖池へ。400頭ものオオサンショウウオが集まっている異常なスポット! 初めてオオサンショウウオを触らせてもらった! ものすごくやわらかく、ぬめぬめの粘液質の皮膚だった~
オオサンショウウオでっさん
その後、今話題のコウノトリ親子の人工巣塔へ。双眼鏡を借りて覗くと、ををを! ヒナ、めっちゃ育ってる! 真っ白の羽毛に目にはきりりと赤い隈取も! 守っているのは母鳥とのこと、ときどきおえっと大きな魚を吐いてヒナに食べさしている・・・ううむ・・・興奮してきた!
コウノトリ母子のいる巣塔
最後にコウノトリの復活の拠点=コウノトリの郷公園へ。施設でコウノトリの卵を見せてもらう、ニワトリよりは2まわりくらい大きく、ゆったりとしたカーブを描く真っ白な卵。
コウノトリの卵

公園内のコウノトリに与える餌を目当てに、野生の(放鳥された)コウノトリが数羽、ちかくまで来ているのが見えた。をを・・・感激だ! しばらく見ていると、ふと背後の山の方へ飛んでくる大きな鳥が見え、あれも野生コウノトリかな?と見ていると、すぐ近くの公園内コウノトリがカタカタカターとクラッタリング(コウノトリは鳴かなくって、くちばしを打ち鳴らす)を始め、羽ばたき始めた! その途端、集まっていた野性コウノトリが次々とはばたいて大空へ! そこへ先ほどの飛行コウノトリも加わり、全6羽の乱れ舞い!!! 高くなったり低くなったりしながらいつまでもいつまでも僕の真上で飛び交っていた。これはなかなか珍しいことらしく、市役所の方々も僕の強運に呆れていました。をを~ またまた「ゑ」がしっかりと僕に焼き付いて来ました! まるでコウノトリたちは僕との約束を果たすかのように、堂々と舞を見せてくれた後、水田に次々と舞い降りて来ました。拍手!
コウノトリ乱舞でっさん
水田のコウノトリとサギ
すっかり満足した僕は、市役所の方々と別れたあと、完全無農薬で栽培されたコウノトリの郷米を購入したりして、豊岡を後にしました。
豊岡から尼崎へ向かう列車は途中、ちょうど丹波篠山の丹波竜(ティタノサウルスの仲間とされる全長10数メートルの恐竜)の発掘現場である川岸を通過するのですが、青いビニルシートをかけてあったりショベルカーで岩肌を掻いたりしているのが見え、今も発掘作業中なのかな?
丹波竜発見現場近く
と、そんなこんなで実に充実した取材旅行となりました。
物語といえるかどうかわかりませんが、絵本のイメージはかなり明確に降りて来ました。しばらくこれを磨き続けます。「卵」のイメージの絵本になりそうです。
翌20日、会議や面談の予定があり大学へ登校、大学到着直前の青空になんと卵が!
卵、卵・・・と卵のことばかり考えていたのですが、まさか空に卵が現れるとは思っていなくてしばらく呆然と見上げていました、あっ そうだカメラ持っていたんだと気付き、あわててシャッタ押したときにはすでに消えかかっており、まもなくすっと青空に溶けてなくなりました・・・
空の卵
ううむ・・・いい絵本がやって来そうなヨ・カ・ン・・・

2007年06月14日

▼ 堀文子展に打たれる ▼

このところずっと描きつづけていた松尾スズキ演出ミュージカル『キャバレー』の宣伝画、今日午後快心の出来上がりとなり、早速AD=河野真一氏が画室に取りに来てくれた。この後氏の念入りなデザイン作業を経てきっとずば抜けてカッコヨイ仕上がりとなるはずだと期待に打ち震るるる・・・
気分を良くして雨ん中日本橋高島屋へ堀文子展を観に出掛ける。
!!! 目・ココロ・タマシイが洗わるるる、先のダ・ヴィンチの違和感やその近くで催されていたひどい展示での嫌悪感の後、89歳堀女史のみずみずしい慈雨のような絵のシャワーに生き返る心地す。70歳でイタリアへ渡ったり、82歳で幻のブルーポピーを見にヒマラヤまで出掛けたり、その後大病を患い旅を諦めると今度は顕微鏡で微生物の世界へと入っていく、その素晴らしい画家のイノチのコロガリ!
「・・・感性を鈍らせない為に常に心を空っぽにし、知識や経験をためこまないように心掛けて来ました。繰り返す事をさけたのは心の停滞が絵から生気をなくすからです。(中略)いつも不安でいる状態が私の創造の道標であり、それが私が一定の画風を作れなかった理由だったと思います。」と言われる各時代時代の絵、すべてみずみずしく、本展を観る限り2006~2007年作の最新作がいちばん凄い!  2006年作「稲妻」2007年作「蜘蛛の家」は技法的にもどうなっているのか僕にわからない! 金属板に彩色とありますが・・・ 絶美! 先月は若冲の動植綵絵33枚揃いを相国寺に観に行き余りの素晴らしさにタマシイが極楽化してしまいましたが、現代にもポツリと堀文子さんのような画家が存在していて日本の絵はヨイなあ、これだよなあと力強い気持ちになりました。けれど、ダ・ヴィンチ展に比べるとずいぶんと空いていて、もっともっとたくさんの人に観て欲しい絵だと思いました。25日まで。8/15~20京都、9/12~24大阪、10/11~22横浜の高島屋へと巡回するらしいです、必見!
堀文子展チラシ表堀文子展チラシ裏妖精クリオネと遊ぶ

2007年06月12日

▼ ダ・ヴィンチ~一角座 ▼

一角座ポスター一角座エントランス""人魚一家


ああ~すっかりツデイズもサボってしまいました、ご無沙汰しています~
色色なことが全て同時進行で渦中にあり、油断ならない毎日を過ごしていますが、多忙といいつつ色んなところへ出かけたりもしています、全ては一期一会、そのトキを逃すと二度と会えないかもしれないから・・・
で、ようやく上野へひさしぶりに出かけて参りました、もしかすると昨年の一角座ラストデイ=吉永小百合さんライヴの日以来かもしれません。
まずは、東博=「レオナルド・ダ・ヴィンチ~天才の実像展」を、25分待ちで・・・ああ、いつもの自分勝手な思い込みで今回来てるのが「岩窟の聖母」だとばかり決め込んでいました、あらら「受胎告知」だったのね・・・この絵にはさほど魅力を感じていなかったのですが、実物は・・・質の良い油のぬめっとした感じは心地良かったですが、ううむ、この1点きりで展覧会が持つのかというと、僕は疑問符。受胎告知ならフラ・アンジェリコのが好きです。ダ・ヴィンチの様様な側面をパノラミックに紹介する展示も駆け足でささっと見て、一角座へ!
一角座ポスターが昨年の若冲にひきつづき今回はダ・ヴィンチとツーショットなのが嬉しい!
一角座ロビーにはポスター原画はじめ、ゲルマ絵や赤目絵もまだ飾ってくださっていて感激、春先のピンポイントギャラリー展で夏石鈴子さんにご購入いただいた人魚の4人家族の絵もなんと一角座に展示いただいてました~
映画は・・・これは素晴らしかった! 子供の頃、NHKで見ていたシリーズなのですが今あらためて見ると、すごくよく出来た映画です。「天才の実像」ということでいうなら、今回の展示自体よりもこの映画の方が鋭く突き刺さってきます、展覧会をご覧になる方、ぜひ前後に余裕を設けてこの映画も必見!
どうも僕はレオナルドの絵にしっくり来ない感じを抱いていたのですが、その謎が解けた!と思いました、そして改めて、レオナルドに興味が湧きました。彼は映画によると、ココロとかタマシイとか、見えない、科学的に実証できないことがらが苦手だったようです。感情も物理的な運動として捉えていました、その背景には感情を押さえつけて出すことが出来ない彼の生い立ちがあったことを映画では強調していました。実際には、さてどういう方だったのでしょう? 名前は知りませんが出てくるキャストが皆本物めいて美しく、狂言回しの背広の研究者がなんとも可笑しくってよいです。17日まで。11:00/13:30/16:00/18:30