制作と生活の現場を東京から神戸へと移してすぐのことでしたから、あれは1993年、以前にストリートスライダーズの武道館コンサートの宣伝・舞台美術の件でお世話になった7th Motherのエミさんから連絡を頂きました。なんでも、チャボさんの新しいCDのジャッケトのヴィジュアルを覆面コンペティションで決めるので、作品を出さないかというお話で、お題目が「ひまわり」とのことでした。それを聞いた途端、僕はあっとひらめくものがありました。自分で描いたヒマワリを、コピー機でねぢって、コンピューターでひねって、色を着けたお気に入りの作品があったっけ、あれを送ってみよう! どこの誰の作品かは一切知らされず、チャボさんは僕のそんなねぢれたヒマワリを選んでくださいました。

 その年から、僕は神戸のアトリエにこもって、いっさいコンピューターとも縁を切り、ひたすらペインティングに明け暮れし、天使の絵なども出現するようになって、現在にいたるのですが、展覧会にきてくれた方の中に、チャボさんのコンサートに通ってる人が何人もいて、僕とチャボさんとのつながりをすごく納得してくれたりするので、あらためてチャボさんの音楽を聞きなおしはじめました。そうしたら、そうか、そうだったのか、と感じること、しきり。詩人の血! 天使、そしてブルース! チャボさん、それからスライダーズの蘭丸さんと組んだ麗蘭のウタの数々に浸りながら、僕のとかく宙に浮きがちだった絵の世界が、この世にゆっくりと、しっかりと、着地していくのを感じてました。

 それにしても、このところのチャボさんの、快進撃はすごいですねー。次から次へと、日記をつづるように、詩(うた)を書き、詩(ウタ)を歌い、CDにもどんどん刻み付けて僕らに届けてくれる。それもすごいハイペース&マイペースで。マイペースが世間の速度よりもはるかに速い、それでいてとことんマイのペースって生き方、かっこいいな、と思います。

 チャボ、という呼び名のせいでしょうか、チャボさんの音楽から僕に視える光景は、宙空を飛び舞う、羽毛、そして羽根とともに飛び舞う、土・ホコリ・・・・・・だから、1997年の夏のコンサートの時には、土色の画面にたくさんの羽根の絵を描きました。実はまだ、本人にお会いしたことないんですが、いつか、チャーンスがあったら、生(ナマ)チャボさんをデッサンしてみたいと、 願っています。

 
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