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2011年08月15日

▼ 盆 ▼


8月15日
青空にぱっくりと
透明な裂け目が開いて
霊達がおっかなびっくり
この代へ 透きとおる片足を
一歩 入れてみる

右翼団体のけたたましい
君が代も
今朝ばかりは百合の花々に
舞い囲まれて
清らかに 遠く 響く
音量が空気の濃さにさえぎられて何か小さくきこえるんだよなぁ
耳奥にプールの水が溜まって全て遠くにきこえるんだよなぁ

やっぱり敗けたんだな
50年余のタイムトンネルの
まぼろしも今は薄く
僕にでさえ身にしみる
敗戦記念日

それがちょうど盆の中日なんて

国民は心底
霊を信じているんだろうな

(それがちょうど1月7日だなんて)
(それがちょうど1月17日だなんて)

信じてることも忘れてるんだろうなぁ

街は人があふれているのに
そのざわめきは
空にぱっくり裂けた
透明な裂け目にすいこまれて
何かどんよりとしづかで
いつもとおんなじようでいて
どこかちがう

停止したエスカレーターのステップに
ふみ入れるがごとし

この代に霊があふれ出してるんだもんなぁ

閉ぢたラーメン屋の店先で
紙くづの吹きだまりが
渦を巻いて 立ち上がろうか どうしようかと
散るに 散れず

僕のうちは炊かないし
この代に何軒
送り火を炊く家があるのかな

毎年どんどんこの代に霊が
濃くなって
空の裂け目も縫いつくろわれることもなく
ただ だらしなく
今年も盆を通り過ぎる


********
もう10年以上前の盆に書き留めた詩ですが・・・
今年もまたこれで・・・

2007年12月25日

▼ そして船は行く ▼

 そして船は行く
 ありとあらゆる 心の光を乗せて
 そして船は行く
 今、立つ、この足元から

 出航だ!
 ボウ! と
 時を告げる汽笛
 各々が
 立つ、その足元から
 今、
 心の光を乗せて
 船は出航する

 ハッチを開けてあおぐ青空
 紫の光霞 桃色の魚霧が 海空をつなぐ
 ああ、と貴女は 白い腕で 額の汗をぬぐい
 鮮烈なさわやかさで 僕をふりかえる
 天使が色を蒔くので ほら、貴女の髪は金色だ
「まあ、あなたの髪は 紫ね
 そしてほら、あなたには見えない? あなたの瞳の色がエメラルド!」
 僕の瞳の中で
 鮮烈に、貴女が微笑する

 そして船は行く
 各々の
 心の光を乗せて
 貴女も
 あなたも
 貴女も
 あなたも
 貴女も
 あなたも
 皆、この船に
 乗船している。
 懐かしい人々の
 懐かしい、
 鮮烈な笑顔が
 透けて 見える。

 おおい!
 おおーい!

 甲板に出ると、
 そこにたたずむ
 懐かしい人々が
 透けている
「ふふふふっ」
 貴女は嬉しくなって
 彼等
 彼女等の
 肩を背後から
 ポン!
 ポン!
 とたたいてまわる
 ポン!
 ポン!
 と、たたかれてふりかえる
 彼等
 彼女等の
 魂の笑顔が
 鮮烈に光る
 白金の色に
 光り輝いている。
 おお、人々よ
 愛しい、愛おしい人々よ
 僕は今、
 あなたたちと この
 船に乗っている
 あなたたち 皆と
 そして船は行く
 眼下に広がる
 鰐色の海
 銀鱗の波頭
 永遠の
 永遠の
 海…
 そして船は行く
 何処に?
 そして船は行く 満天の星々の下
 長い夜が続いている

 かつて セイレーンは 歌ったことがある
「船人よ、夜が明ける前に
 あの星をめざせ 心の光の櫂を漕げ」

 貴女は
 まるで キャプテン のように
 船首に 鋭く 斜めに立ち
 細い首をのばし
 あごを水平に突き出して
 はるか 宇宙をあおぎみる

「あの星よ、ほら」

 満天の群星の中
 ひときわ 青い星が
 貴女の差す
 指の先で
 明滅している。
 人々よ、
 あの星だ
 僕たちの サファイアの心の船が
 向かうのは
 そうでしょう?
 ねえ キャプテン!
「そうねえ、飛ぶ準備は
 出来ていて?」

 そして船は行く
 心の光を乗せて
 各々が
 今、立つ、各人の足元から
 心の光の櫂を漕ぎ
 サファイアの光を放ち
 そして船は行く
 満天の群星の中
 今、船は
 飛んでいる!
 おおい! 
 おおーい!
 人々よ
 懐かしい人々よ
 いつもあなたたちと
 いっしょだった
 これからも
 ずっと
 ずっと
 いっしょだよ
 ずっとずっと
 みんないっしょだよ
 サファイアの心の船は
 僕たち皆を乗せて
 さらに さらに 深く
 透きとおっている。

 見下ろせば
 眼下に遠のく 海
 僕たちは今、
 透明になって
 あまねく
 宇宙へひろがっていく
 おおい!
 おおーい!

「あら? ほら、あちらにも
 大きな 透明な船が、
 ほら、こちらを見て
 人々が 手を振っているわ」

 本当だ
 懐かしい人々が
 透明な手を
 振っている
 キラキラ キラキラ
 霜のような 結晶のような
 手を振っている。
 お父さん
 お母さん
 皆が、霜のように
 透明な掌を振っているのが見えている

 キャプテン、
 あの人たちも いっしょなの?
「もちろん、そうですよ あなた」

 ああ、
 何と言えばよいのだろう
 どこまでも
 どこまでも
 船は行くのですね
 皆、いっしょに
 ずっといっしょに

 透明な
 巨大な
 莫大に 巨大な船が
 いくつも いくつも
 重なりあって
 宇宙に あまねく
 広がりながら
 青い
 サファイアの光になって
 溶け合って
 進んで行きます。

「ねえ キャプテン、そうでしょう?」
「もちろん、そうですよ あなた」

 そして船は行く
 今、僕が
 立つ、この足元から
 あの星まで
 あまねく
 船は
 船に 満たされている