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2015年06月01日

▼ 朝日新聞文芸時評2015年5月 ▼

加藤秀行サバイブ

朝日新聞の毎月最終の水曜日朝刊に掲載される片山杜秀さんによる文芸時評に、毎回カットを描かせて頂いています。この文芸時評とのお付き合いは松浦寿輝さんが担当された2012年4月からですから、ながいおつきあいになって来ました。毎月4〜5冊の文芸誌を読み込み、片山さんを中心とする勉強会に参加し、その月で取り上げる文芸作品と、方針が決まります。本の装画、また文芸誌などである作品のために描く挿絵ともまた違い、いくつかの作品をある視点から批評するテキストに対しての絵を描くことになります。取り上げられるのはその月に文芸誌に掲載されたり、発刊されたりした真新しい作品が中心となり、テキストはその時期時機のLIVE感が迸ることとなるので、僕もライヴ感において同期した絵を、伴走しつつ描きたいと思ってのぞみます。この5月は文學界新人賞を受賞された加藤秀行氏作「サバイブ」を中心にこんな絵が描けました。毎回、自分一人からでは絶対に思い付かないような絵が描けて、とても愉しいです。

2015年01月06日

▼ JEWEL BOAT TIGER ▼

JEWEL BOAT TIGER

昨年末最後に完成したのは、「JEWEL BOAT TIGER 」・・・
久し振りの宝船、少々手こずりました。
僕は、絵の内容と同時に、サイズ、支持体、絵具の種類やその混合などなど、その絵の描き方も空中からパッと思い付くタチなので、そのシリーズを描いている間だけはその技法の行成のエキスパートなのですが、次のことを思い付くと過去の手法を忘れてしまいます。自分が描いたはずなんですが、描き方がわからない?・・・なんということもよくあります。しばらくやっていると徐々に思い出して、というよりは、新しくまた発明しながら、モティフが生まれ直してきます。
昨年描いた唯一の宝船・・・注文主の御方の御所望で、虎やポメラニアンが乗船しています(微笑)・・・この船がまた新しい船をひっぱってきてくれそうな気がします。

2014年01月04日

▼ 新年明けましておめでとうございます、2014年書き初め ▼

独楽

新年明けましておめでとうございます。旧年中はお世話になりました。本年もどうか御贔屓にお願い申し上げます。暮れから新年三が日ずっと神戸で新春展覧会へ向けて絵を描いておりました。
新年明けて、恒例の今年の一文字を思い浮かべていたのですが、どうしても「独」の字が浮かびます。独立独歩、独自、咳をして独り・・・孤独・・・なんだか寂しいなと思っていたら下に「楽」の字がくっつきました。・・・「独楽」。独りで楽しい・・・。確かに絵を描くのは独りで楽しい・・・。
今日満員の東京へ戻る新幹線の車両間の通路に座り込んで読んでいた本に「独楽」が出てきました。『あわいの力 「心の時代」の次を生きる』という本で、著者は能楽師のワキ方として活躍される安田登氏です。氏によると、能では舞台上でただ座る、それは「高速で回転するコマのように座れ」といわれるのだそうです。独楽は高速で回転しているほど、静かに安定して立っています。能の舞も、静かであれば静かであるほど内側に激しい「振動」が蠢いているのだそうです。僕は能に詳しくありませんが、わかるような気がします。実は僕も、僕の絵がそんな絵だとよいなと願って描いてきました。絵は静止しているように見えて、絵を構成する全ての粒子は力強く、軽やかに振動・回転しており、激しく動き続けながらしんと止まっている・・・。ですので僕が絵を描くときに気にしているのはモティフや構図とかそんなことより、支持体と絡む絵の具の粒の状態、絵の状態そのものです。独楽のように高速で回転しているような、静かなどっしりとした絵を描いていきたいと改めて思います。
と、「独楽」を絵に繋げて考えているうちにふと新年が「午年」であることに思い至りました。「コマ」は「駒」でもあります。パッカパッカと勢いよく駆けつける馬。それは将棋の駒にも繋がります。社会に生きていると好む好まざるを問わず僕もなんらかの駒のひとつとして機能せざるを得ません。願わくば、必要なときにはパッカパッカと勇ましく駆けつけ、役割を果たす有能なひとコマでありたいものです。
駒

そして日々生きて行くその生の一齣一齣(これもコマですね)をできることなら美しいものとしていきたいと思います。ところで、「独楽」も「駒」も高句麗(コマ)からやってきたのでしょうか・・・?
午年の新年も、何卒よろしくお願い申し上げます。まずは、1月14 日〜25日、南青山のピンポイントギャラリー展「HOLY BASIL」でお会いしましょう! 寺門孝之拝

2013年01月03日

▼ 2013今年の一文字「客」 ▼

客の一文字

改めまして明けましておめでとうございます。
毎年、新年の個人的な目当て、課題といった意味合いで今年の一文字を書き初めしているのですが、2013年はこの一文字です。

「客」

もう三十年近く絵を描いてきましたし、自分でも僕は「主観」中心で我侭に生きて来たと思うのですが、数年前から大学で若い方達に教える機会を頂いたことの影響もあるのか、自分がやってきたこと、自分の判断や行動の傾向などについて少しだけですが「客観」するようになりました。今年はこの「客」観をさらに強めて行きたいと思いました。自分の思い付きや、欲望や、希求を、自分を突き放して遠くから眺めつつ、それでも強く推し進めて生きたいと思います。

それから、「千客万来」・・・僕の絵を、ひとりでもたくさんの方に見て頂きたい、目に、ココロに留めていただきたい、とも改めて思います。絵は、観てくださる方、御客様あってのものだと僕は思って描いています。どこかにこの絵を欲する人が、他者がいるから僕を通して絵が現われるのだとも。御客様をもてなすココロモチで絵を描いていきたいと思います。

白川静先生によれば、「客」とは「廟の中に降下し格たる(いたる)神で、他から迎えた神(客神)」だそうだ。わがくにでは「客」とは「まろうど」(異族の神)をいったとのこと。そうそう、そのことは年末の絵話塾の際に生徒さんの一人が「なぜ七福神、宝船を描くのですか?」と尋ねられたときに僕が答えた内容と全く一致します。わがくには大きな海流に挟まれた島国であるせいか、よきもの は常に外から、流れ着く とされてきた。どこからか漂流して現われる見知らぬ者、モノを「まれびと」として敬い、神とあがめてきました。その心情傾向は今でもかわっていないように思われます。
僕は自分の絵が自分の力で、自分の考えで描いているとは強く思わないでいます。絵は、絵のアイデアは、常に外から僕に訪れる。次から次へとやってくる宝船のように。
僕のメインモティフ「天使」は垂直系の、「宝船」は水平系の「まろうど」といえるだろうか。ただし、「天使」も西欧からもたらされたという意味では、水平線のむこうからやってきた福神のひとりなのかもしれない。サンタやガガ様と同様に。

かつての紅白歌合戦では三波春夫が最後に現われて「お客様は神様です」と言っていたけれど、まさしく「客」とは「神様」のことだったとは!

そんなこんなの思いをこめて、今年は「客」の字を胸・腹に刻みつつ、絵を描いていきたいと思いました。

2012年12月10日

▼ かわった絵が出ました!! ▼

大熊座

12月9日の16時~ギャラリーVie、「宝船そして神戸」展会場で、ギターにイラストレーター、絵本作家で大活躍の植田真さんをお迎えしてのライヴペインティング…50名ものたくさんの方の視線に導かれ、植田さんの絶妙なフレージングに操られ、最初ッからずっと飛ばしっぱなしで、一度も休まず最後まで一時間半強、描き続けた先には、、、ん? 熊? わんちゃん? おおきなケダモノの顔が出ていました。ギャラリーからペイントステージへの変換作業にてこずり、スタート前に焦り気味だったため、用意していた新しい絵具をセットし忘れたり、いつもは自前で用意しておく水も忘れてて、途中どうしても水が欲しくなって筆洗の水を飲んじゃったり、色々ありましたが、とってもスリリングでややクレイジーな道行きとなりました。愉しかったです。見ててくれていた絵話塾OBのしろくま画家・しろくまともこさんが出来上がったこの絵に「大熊座」と名付けてくださいましたので、そう呼ぶことにします。ちょっとわんちゃんにも見えますけど(苦笑)。会期ラストまで、1111太陽SUNと並べて展示します。

20121209 01
はじめのうちはドローイング風に。まったく何を描いてるのか不明。

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人の形にそだつのかと思ってもいました。

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この日の植田さんはのっけからテンション高く絶好調。昨年の表参道のときはアンビエント系な感じでしたが、今回はめくるめく名曲の数々に刺激されっぱなしでした。

20121209 03
このあたりからどうもケダモノ臭が・・・

ueda terakado
その後入り込んでしまって写真を撮っていません。どなたかいいのが撮れていたら送ってください! 描き終えてのツーショットです。

新会場光景
描きあがった「大熊座」は会期中御覧いただけます。

展覧会は土曜日15日、19時までです。どうぞお見逃しなくぅ!!

宝船そして神戸dm front
t宝船そして神戸dm back
今回のDMのデザインはギャラリーVie主宰=村上政行氏です。

寺門孝之 絵画展 『宝船そして神戸~Jewel of Heart  ボクの神々を載せて~』

2012年12月3日(月)~15日(土)
11:00~19:00
会期中無休

天使や人魚、映画や物語のヒーローやヒロイン、様々な神仏、そして子供たち・・・
ボクにとってのありとあらゆる真新しい神々を載せて、ボクのハートを出航した様々色々な宝船は、2012年12月、ボクのそだった街神戸へとやって来きました。

ギャラリーヴィー
〒650-0024 神戸市中央区海岸通3丁目1-5 海岸ビルヂング307号
TEL 078-332-5808 FAX:078-332-5807
JR・阪神元町駅西口下車南へ徒歩約5分
http://www.galleryvie.jp
galleryvie@voice.ocn.ne.jp

☆なお、6日からは神戸ルミナリエと会期が重なります。夕方以降は交通規制・通行規制に御注意ください。大丸側からではなく、元町駅西口から南下するのがよいかと思われます。

2012年11月23日

▼ 日野晃さん公演「マクベス」は必見!!11月29・30日!!  ▼

macbeth

親しくさせていただいている古武道家で、身体と意識のディープでラジカルな探究家である日野晃さんが、今年もヤル!!ヤラレル!!!
昨年、東京と神戸の公演をつぶさに魅せて頂いて、ヤラレタ!!!!
その後半部分を、日野さんは「マクベス」と呼ばれていたが、今年はなんとその「マクベス」部分を大幅に進化させた公演だという。想像しただけで、血が滾ることこの上ない。

ちょっと長くなるが、一昨年の日野さんの公演を目の当たりにし、昨年の公演のパンフレットに掲載していただいた僕の文章を以下に掲出します。

「どしゃぶりの大雨、ぬかるみでの死闘」寺門孝之   

フェデリコ・フェリーニはインタビューで映画を撮る際に最も気を遣うポイントとして「映画に現実が入り込まないこと」を揚げている。映画の中は聖域であり、ぬるぬるの日常から切り離され内部の強度が高まれば高まるほど、僕等観客はそれに触れることで日常を遣り過ごすだけのエネルギーを拝受できる。絵にせよ、劇にせよ、小説にせよ、音楽にせよ、僕が芸術に期待するのはそういうことだ。プロフェッショナルと素人の肩書きとしての差異などどうでもよく、時として幼い子供の描く絵や、幼稚園での児童劇に至福を感じることもある。予想を超えたアクション、予測を裏切るリアクション…目が離せなくなる、そのことが魅入られる、魅せられるということだろう。想定内などと言う日常を大自然が情け容赦無く軽々と超越してしまうことは、僕等は何度も何度も繰り返し突きつけられ叩き込まれる。大自然への、あるいは日常の外、あちら側への畏怖と憧憬が人を芸術へと誘い、芸術はあの世の雛形として人工的にこの世へ穿たれる窓だ。たとえばどしゃぶりの雨…

黒澤明作品『七人の侍』の死闘中降り注ぐ人工の雨量の凄まじさ…。敵も味方も全てを叩きつけ、呑み込んでしまう。黒々と差し込む雨の槍と泥煙の中で、人がギラギラと発光し始める。本当に切羽詰った先に発する光を黒澤明が欲している。僕等はその映画の四角の中に自分の血を辿った先に開ける、自分が遠くはるばると生き抜き、生き延びてきた道を感ずることが出来る。

僕が初めて日野晃氏振り付け・構成・演出のステージを目の当たりにした時に感じたのはそういうことだった。舞台の上の知らない誰か達が皆切羽詰って、生き抜こう、生き延びようと疾走している。敵に合えば殺されるかもしれない、出来れば敵に見つからず駆け抜けたい、しかし合えば戦い、あるいは闘わずして生き延びねばならない… それがダンスなのか武道の公開練習なのか、劇なのか僕にはわからない。わからないが僕の血は僕を超えて遡り、僕にも舞台の上にも、見えないどしゃぶりの大雨が降り、僕等は泥煙の中をひた走りに走っていた。

何年か前に新宿で観たピナ・バウシュの舞踏団の公演でも雨は降っていた。公演半ばから雨は舞台に降り続け、あり得ない雨量が舞台を海と換えてしまう。常軌を逸した人工の大雨がダンサー達の野生を叩き出して、舞台に獣じみた匂いが充満していく。西欧的な、即物的なスペクタルとしてのカタルシスがそこにある。
日野晃氏の舞台の特異なのは、実際には雨も降らず、泥も無く、素舞台であることだ。照明の効果も最小限。なんら劇的な演出が無い上で、見知らぬ誰か達がその身体だけで僕等をどしゃぶりの大雨の中へ連れ込み、ぬかるみでの死闘に巻き込んでしまう。その上、静かで、透明で、爽やかなのだ。不思議だ。笑うしかない。

このようにぐたぐたと書いた。その上で、昨年の公演を見て、倒れた。僕が想い、書いたことは、全く、足らなかった。はるかに、足らなくて、またしても笑うしかない。
今年、また依頼を受けて、懲りずにまたパンフレットに載せるという文を書かせていただいた。フライングではあるが、以下に掲出する。

「狂え! 
大切なモノともいちど会えるまで」寺門孝之

室町か、いやもっと中世? 古代か? 僕達が今とはまったく違うものを信じ、違うものが見えていた時に
失った、亡くした、大切な人の亡き骸を運ぶ道・・・
熊野? だろうか
会いたい・・・ ・・・ 合いたい・・・ ・・・
もいちど 合いたい
僕達は息を吹きかけ、叫び、啼き、暴れ、狂う
狂うことによって、あの人はよみがえる
毎年、毎年・・・何年先となっても、僕達が狂えさえすれば、あの人が黄泉還る
その確実さを、知っていた頃の自分の血の昂りを、思い出すことがあろうとは思いませんでした

日野さんはそれを「マクベス」と呼びます
たしかに舞台にはマクベス役者が起ち上がり、マクベスの台詞をもの云う
けれど甦ったのはマクベスだったか?
東の果ての小さな島の奥深い森の奥の奥の夜の
誰もに、大切な人を失った絶望があり
誰もが、もいちど会い 合うための 狂いを 得る権利を発見する
遠く マクベスを描いた御方も その森の奥の術を知り尽くす人だったでしょう、さて

大切なあの人を向こう側から呼び寄せるとき、他の亡き者の群れもまた、蜘蛛の糸をたどり始める。狂い、得られるものは、欲しいものだけとは限らない。ならば、さらに狂え! 狂え! 狂え! 狂え!浮ばれないモノどものために。満月を打ち鳴らし、世界が裏げえるとそこに! まっさらな太陽!!!
日野晃畏るべし

先日、久し振りに日野さんとゆっくりお話しできる機会を得た。日野さんは今回の公演にどっぷり含まれ切っていて、そのアイディアが身体中から、そしてもちろん口からは言葉として放出されていた。またしても、僕の文が置いてきぼりにされ、日野さんは見えないくらい遠くの角を曲がって、全く見えないのだった。
皆さん、とにかく、見る、べし、です!

日野晃「Real Contact Project」主催公演
『太鼓衆一気結成10周年公演VSマクベス』


11月29.30日(木・金)
埼玉・彩の国小ホール

開場19:00 開演19:30 両日共  
前売り 3.500円 当日4.000円
お問い合わせ Tel: 048-778-7967

http://www.real-contact.jeez.jp/index.htm

http://blog.ap.teacup.com/hinobudo/
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この公演に向けて、シンボル=「まっさらな太陽」を描かせていただきました。写真がその太陽です。
公演限定販売でTシャツになり、原画も展示されるそうです。
原画は金色で描きました。その方が、描くときに気分が出るし、黒にしたときに筆触がくっきりと現われるのです。
実際に、筆が紙に触れている時間は15秒くらいかと思います。イッパツで決まります。けれど、その15秒を得る間合いを見るのに、1っか月以上を費やしてしまい、日野さんを随分待たせてしまいました、申し訳ないです。(苦笑)

余談ですが・・・僕は学務のためこの公演を見ることが叶いません。えーんえーん。
皆様、僕の分もしかと体験されてきてくださいね、たぶんまだチケトあると思います。未確認ですが・・・。前半は、日野晃さんの御子息=一輝さんの和太鼓のライヴです。

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2012年10月02日

▼ A TRIBUTE TO PENGUIN CAFE @Coolie's Creek(白金高輪) ▼

penguin cafe 2012 TOKYO

この秋、連続してお世話になる外苑前・キラー通りのタンバリンギャラリーの高橋キンタローさんに誘っていただき、まずは“Tambourin Gallery presents A TRIBUTE TO PENGUIN CAFE”という展覧会に参加させていただいている。1970年代半ばにSimon Jeffesが中心となって誕生したPenguin Cafe Orchestraの音楽と、ペンギンとペンギン頭の人間が描かれた不思議なジャケットはたちまち僕を虜にし、最初のアルバム「MUSIC FROM THE PENGUIN CAFE」は発売当初からの大の愛聴盤で、LPからCDに持ち替えた今もしょっちゅう画室で静かに鳴っている。なぜか当時はペンギンがクールで、メディアのそちこちにペンギンが登場していた。1981年の「PENGUIN CAFE ORCHESTRA」も好きだが、いちばんはこの1stの方だ。そして1stの中でいちばんのお気に入りは9曲目に当たる“THE SOUND OF SOMEONE YOU LOVE WHO’S GOING AWAY AND IT DOESN’T MATTER”というタイトルも演奏時間もここちよく長いギターを中心とした楽曲だ。
親しい友人が所属していたことから当時、早稲田大学の劇研関連の芝居をかなり頻繁に観ていた。なかでもその斬新な若々しい演出で頭角を現して来ていた第三舞台の公演は特に楽しみだった。とても光って見える特別な役者がいたのだった。濃い個性の凄い役者が次々と登場する当時の第三舞台の中で彼は他の誰とも似ていなくて、その頃の小劇場では見たことの無いニュアンスがあった。ナイーブで鋭くて、手足が細長くて、華奢で、透明で、顔が小さくて、冷たくて、切実だった。そんな彼が舞台でふっと踊りだすと、切なくてぞっとしたものだった。彼の出ていたどれかの芝居で、劇が中断して、幕間のような時間がおとずれる。その役者は、ふっとそれまで演じていた役を降りて、舞台のパイプ椅子かなにかに腰掛けて煙草をふかす。目の前の観客に「どこから来ました?」なんて問いかけたりしながら、煙草一本分の時間、観客の目前で悠々と休憩して魅せた。その時に流れたのが、この“THE SOUND OF SOMEONE YOU LOVE WHO’S GOING AWAY AND IT DOESN’T MATTER”だった。それがどんな筋書きの芝居だったか、タイトルさえ忘れてしまったが、大笑いしながらもずっと緊張を強いられるスピードのある劇の合い間にふと、湧き水のように静かに溢れ出したPENGUIN CAFEの音楽と、煙草一本分のその役者の風情が、いまでも忘れられないでいる。その後まもなく彼はオートバイの事故で早逝してしまい、僕は第三舞台の劇を観にいかなくなった。PENGUIN CAFEのSimon Jeffesも1997年に48才で亡くなった。いまは息子が後をついでPENGUIN CAFE ORCHESTRAはつづいているとのこと、素晴らしいことだ。ずいぶんと時間を経て今、PENGUIN CAFEへ絵を描く機会がやってきたことに感謝しています。ぜひ、覗きにいらしてください。参加者皆の、なにかしら想いが詰まった展覧会になっていることでしょう。10月…PENGUIN CAFE ORCHESTRAの奏でる音楽にはうってつけの10月。

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タンバリンズ・ギャラリー Presents 【A TRIBUTE TO PENGUIN CAFE】

2012年10月1日(月)~11月3日(土)

ペンギン・カフェ・オーケストラの来日にあたって各界のビジュアル・アーティストがジャンルを超えて緊急参集。
アーティストたちの「ペンギン・カフェ トリビュート」展が「Coolie's Creek」にて、開催されます。

Artists/姉川たく、新井夏希、安斎肇、飯田淳、井口真吾、伊藤桂司、石田昌隆、影山徹、川上尚見、
河村康輔、北村佳奈、黒田潔、サイトウユウスケ、佐藤直樹(ASYL)、ジョージ安藤、白根ゆたんぽ、
信藤三雄、鈴木直之(Tycoon Graphics)、高橋キンタロー、寺門孝之、寺田克也、中山ダイスケ、永井博、
那須慶子、坂東慶一、氷見こずえ、ヒロ杉山、真舘嘉浩、三浦憲治、水野健一郎、ミック・イタヤ、
宮師雄一(Tycoon Graphics)、矢吹申彦、山本ムーグ

会場:Coolie's Creek
〒108-0078 東京都港区白金1-2-6
tel/03-6459-3313 fax/03-6459-3314

http://cooliescreek.jugem.jp/
営業時間:月~金 LUNCH 11:30~14:30 ( FOOD L.O. )
土 BLUNCH 12:00~15:00(FOOD L.O.)
月~金 DINNER 18:00~23:00 (FOOD L.O.)
土 DINNER 17:30~23:00(FOOD L.O.)
23:30 ( DRINKL.O.) 24:00(CLOSE)
定休日:日曜日

※レストラン・バーですのでドリンクまたはフードを要オーダー。

http://tambourin-gallery.com/tg/2012/09/a-tribute-to-penguin-cafe.html
フライヤー

2012年09月27日

▼ MEIN FAUST 追加公演 ASK それからIDCアートウィーク寺門孝之特別展覧会   ▼

少々御無沙汰しました。いやぁかなりのハードスケジュールの日々を送っています。なんとか劇団針の穴公演&展示も無事出航し、第一回~第四回まで公演を終了し、展示はいよいよ明日がLAST DAY。そして29日は、完売の13時からの第五回公演の後、17時からの追加公演が決定しています。こちらも残席あと僅かとのこと。なんだか人気の劇団針の穴、団員も既に来年の公演の相談など始めているようです。チケットの予約問合せはギャラリーへお願いします。
http://www.pinpointgallery.com/cn8/cn125/pg1856.html

さて、僕の今回の出し物は「レディ・ファウスト或いは女(メス)メフィスト曰く、グッドバイおさむちゃん』というタイトルで、太宰治の心中を絡めた内容の人形と映像と朗読によるコントなんですが、映像は神戸芸術工科大学寺門ゼミ現役大学院生・田原知世さんが海や空や灯台をロケーションして撮影し、寺門手描き数字のカウントと合成してくれたかっこいいもの。また、美少女メフィスト役を演じてくれているのは、幼稚園児童の頃から寺門ワールドのミューズで、数々の商業施設広告ポスターや絵画作品でモデルを務めてくれている蒲谷明日香ちゃん。コードネーム:ASKです。いまやすっかり成長しちゃって、その美少女ぶりが針の穴公演でも大人気です。では以下、ASKモデル作品ギャラリーといたしましょう。

CINDERELLA HEART FOREST
CINDERELLA HEART FOREST

真珠採りの娘
真珠採りの娘

虹のむこうは
虹のむこうは

dessin20000611
dessin20000611

描くココロ カメに乗る
描くココロ カメに乗る

天満屋父の日ポスター
天満屋父の日ポスター

闇の妹のそのまた妹
闇の妹のそのまた妹

描くココロASK
描くココロASK

DREAM PIRATES
DREAM PIRATES

さてこの「ドリームパイレーツ」は大阪のESTのポスターになっていましたが、今回29日からIDC大塚家具大阪南港ショールーム8階特設ギャラリーで開催される「IDCアートウィーク」での寺門孝之特別展覧会のフライヤーも飾っています。この展覧会については以下。

IDC大塚家具南港ショールーム開設15周年記念
IDC アートウィーク
 
寺門孝之 特別展覧会

同時開催 吉岡和子展
     オゴンバイラ展

2012年 9月29日(土)~10月8日(月・祝)
正午より午後7時まで 会期中無休

会場:IDC大塚家具大阪南港ショールーム 8階特設ギャラリー
   大阪市住之江区南港北2-1-10 ATC ITM棟内
   06-6612-4321

企画協力 美術画廊ギャルリ・ムスタシュ

10月8日(月・祝) 午後3時~

ライヴペインティング&トークサロン開催(入場無料)

リュート演奏 高本一郎

(ご来場の皆さまには寺門先生のポストカードキット進呈)

http://www.idc-otsuka.jp/showroom/osaka/osaka.html
http://ichiroluth.exblog.jp/

2012年08月11日

▼ ハート ▼

GOLDEN PRAYER HEART PEARL PINK

会期二日目のこと。会場にお母さんといっしょに見知らぬ姉妹らしい女の子たちが入って来て、熱心に絵を見てくれていた。上が小学校2年生くらいだろうか? その上の子がまっすぐに僕を見上げて「質問があります、どうして天使たちは手にハートを持っているんですか?」
考えたことがなかったので一瞬、逡巡するが考えるより速く口が答える「だれかに、あげるためじゃないかな」
女の子はびっくりしたような大きな目をして僕を見詰めたままだまってる。
「大丈夫、いくらあげたって、ここ(自分の胸を叩き)のハートはなくなんないし、減りもしないから」と言葉を足すと、安心したのか女の子はニカッと微笑んでピカっと輝いた。全部の絵をぢっくり見終えるとわざわざ「ありがとうございました」と言いに来る。
「絵、描くの好き?」
「大好き」
「どんどん描いてね!」
瞳をきらっと光らせて、両の掌を僕に差し上げてくる。
パチン!とハイタッチして、バイバイ!
ハートの天使。

GOLDEN PRAYER EMERALD HEART

2012年06月06日

▼ 6○4 クラブ月世界 中島ノブユキさんといけるところまで!! ▼

two shot

中島ノブユキさんと僕との関係は不思議なものだ。淫らといってもよいかもしれない。
普段は会わない。たまに神戸で、密やかに、けれど人前で。彼がピアノを鳴らし、僕が絵を描く。絵を描くといっても、フィルムのスクリーンを手やクレヨンやブラシで引っ掻き回すだけのようなものだ。打ち合わせは、無い。本当になくて、現場で会って、握手。「どうする?」「いかようにでも」「ではあとで」「本番で」・・・彼は街に消えて、本番まで現れない。僕だって画材を並べ終えると、どこかでチャージ。会場に戻ると、気が向けば、勝手に描き始める。

この夜は、前夜にアジトの前に落ちていた金色額装の鏡に、まずドローイングしつつ、中島氏の帰りを待った。なかなか現れない彼が、ようやくピアノに着くと、また去る。空調の音が気になったようだ。空調が切られ、静寂に最初の音が響くと、・・・もう止まらない止まらない。いつのまにか二人は、ばらばらに、そして緊密に、熱く静かに、暴れ、きづくと中島氏はもういない。すこしのインターバル。そして第二幕。絵の中の「ひとり」の中の「二人」がそれぞれに泣いていて、「一人」に戻りたくて見詰め合って喘いでいると起つ虹が「一人」「一人」に分かち、唐突に絵から僕は放り出される。ずっと金色の雨が降っている。金色の雨と虹、二人で一人で、一人一人な一人、そんな二人が絵の中で立ち尽くして、微笑していた。

終わってしまって、中島氏は街へ。僕も片付けて街に出て、もういちど中島氏と会ったものの、話すことが何も無い。仕方が無いから時間を酒や食べ物や人々で埋めて、ハグしてさようなら、ごきげんよう、またいつか、お会いしましょう。

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2012年06月03日

▼ 満月○月食●月世界で、静かに美しく大暴れ 中島ノブユキ氏とライヴ ▼

中島ノブユキx寺門孝之 月世界ポスター

中島ノブユキ氏とのライヴがいよいよ明日に迫り来たり、とても湧き出づる気分、逸るココロをいまはオサヘテ・・・
明日は、満月で、そのうえ夕方に部分月食だそうです。
先日の金環食と順序が入れ替わり立ち代わり、
月照らす太陽と、月の間に、我らが地球が割り入り、月を照らすはずの光を受けて、月に自分の影を映します。月は、鏡でないので自分の貌を確かめることはできませんが、自らの他者への関りを意識せざるを得ないでしょう。
誰の光を、誰が遮り、誰にその影を映すのでしょうか?
ライヴペインティングにはうってつけの宵。
正しい時に、正しい場所に、正しい人と集うことを祭りというなら、
明日の宵は、正に祭りであるでしょう。
どうぞ、光と影の祭りの宵に、ふるって御参集ください。

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写真は昨夏、8月3日、東京青山・CAYでのtomo the tomo carpe diemとご一緒させていただいたときのスナップ。このマリアさまも今回の月世界、
TERAKADO TAKAYUKI LIVE PAINTING GALLERYに展示します。

+++++++++++++++++++

荒戸源次郎監督の映画『人間失格』での競演来、たびたび逢瀬をいただいてきた音楽家・中島ノブユキ氏と、神戸にて 3度目の邂逅。

ピアノソロによる新アルバム“カンチェラーレ”リリースツアーの神戸公演としての
中島ノブユキ ピアノソロコンサート

第一部はアルバム“カンチェラーレ”の楽曲を中心としたピアノソロ
第二部は、恒例の中島さんの即興演奏。ゲストとして、寺門も、完全即興ライヴペインティングで絡みます。

さらに今回は、ここ近年のライヴペインティングでの成果を集めての展示
TERAKADO TAKAYUKI LIVE PAINTING GALLERY を同時開催します!

6月4日(月)満月の一夜のみの展示です

神戸の歴史的キャバレー、今はLive Hallとして強烈な存在感の
クラブ月世界 にて
http://www.gessekai.net/

19:00OPEN 19:30START

チケットは
前売り:4000円 当日:4500円
いずれもドリンク代として別途500円

メール予約:
info@descarga.nu
チケット販売:Live Hall クラブ月世界、eプラス

問い合せ:Live Hall クラブ月世界 078-331-6540
主催:Live Hall クラブ月世界
企画制作:デスカルガ

2012年02月02日

▼ えっ もう二月 ▼

こないだ『宝船』が終わったばかりだというのに、もう二月だっ。その間の日々はどこへ去ってしまったんだろう? 図書館でのレクチャーに70人くらいたくさんの方が詰め掛けてくれた日もずっと前のことだ。行ったり来たり。神戸ではずっと大学…まずは学部学科の卒業研究の提出と審査があり、終わるやいなや今度は大学院修士課程の卒業研究の提出と審査中。明日も。
学生達は泣いたり笑ったり緊張したりほっとしたりたいへんだ。
合間を縫って、自分のお絵描き、ローズプラスエクス次号準備、そして勉強…
誕生日も近い! どんどん老ける。 夜も更ける。毎夜、キレイな三日月がおっきな星粒と並んでる。

2012年01月03日

▼ 迷い犬 ▼

帰宅するとリビングから妻の呼ぶ声がする。ほら、見て! そこ! と窓際の白いカーテンの足元を指差すので、見てみると、えっ!? 白い毛のふさすさした小さな顔がカーテンの隙間からのぞいていて、黒い瞳をきょときょとさせている。め、めちゃくちゃ可愛い!何? どうしたのこれ? と妻に訊くと、なんかいたんだよ、迷い犬だよきっと、逃げないよ、さわってごらん、という。ひざまづいて手を伸ばすと、確かに逃げなくて簡単につかまえられた。両掌のうえでぢっと黒い瞳で僕を見上げている。なんという可愛さだろう。でも、こんな可愛いのだから飼い主は今きっと凄く心配して捜しているだろう、どうすべきかなと考えていると、妻が、いいんじゃない? せっかく来たんだからしばらく飼ってみようよ、こんなに可愛いんだし、という。そういうわけにもいかないんじゃないかなと思うが、あんまり可愛いのでひとまず僕は考えるのを中断して、まあ妻にまかせておこうという気になる。全身純白の長い毛に包まれており、白いマルチーズに似てはいるのだが、体長は焼き鳥の串くらいしかなくて、真っ黒い二つの大きい瞳はややはなれがち。全体に細長くて、四肢はあるのかないのか見えない。自分では歩かなくて、抱き上げてどこかに置くとじっとそこでおとなしくしている。妻が段ボール箱のうえにそれを置いたら、ちょこんとずっとそこにいて、そこからきょときょとこちらを見まわしている。めちゃくちゃに可愛い。なんて可愛いんだろう。


……というのが今朝見た今年の初夢です。なんだったのだろう?

迷い犬

2012年01月01日

▼ 発! 2012 ▼

発

新年明けました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
毎年、今年のキーイメージとして漢字を決めて書初めしてるのですが、
2012年は、

「発」

としました。発信、発見、発動、出発、発光、発刊、発表、発育、発注、発達、発奮、発狂(これはいかんか…)・・・
訓では、「たつ」と読めます。
今年は「たつどし」、
どんどん発して行きますよ~

よろこびますように たのしみますように

2011年08月13日

▼ 週刊朝日8・19号 忘れられない一冊  ▼

週刊朝日8・19号(菅首相の顔の表紙の)のp98、[忘れられない一冊]というコーナーに文章を書かせて頂きました。タイトルは「ノヴァーリスの青い本の不在」。

週刊朝日819号p98週刊朝日8・19表紙

2011年06月20日

▼ 日野晃さんの『Real Contact2011』神戸公演を観終えて ▼

日野晃さん構成・演出・振り付け・出演の『Real Contact2011』の神戸公演を2日連続で見せて頂いた。日野さんのことだから先月の吉祥寺公演初日に観せて頂いたモノから進化しているとは想っていたが、こんなに違うとは! 更に神戸の2つの(僕が見た2つ。実際には3つ)公演がまるで違うモノになっていたので驚愕した。楽日のモノはとてつもなかった。ラストのラストでぶちのめされた。完全にアタマはフラッシュアウトし真っ白な闇が爆発していた。終演後、席から立ち上がれぬまま口をあんぐりあけて呆けている僕のところまでわざわざやってきて「どうじゃっ!」と笑む日野さんの目は完全にいたずらっ子の大将の目になって勝ち誇っていた。今回は二晩とも打ち上げの酒宴にも混ぜて頂き、日野さん御自身、そして公演メンバーの俳優・平岡マクベス秀幸さん、ダンサーの山田勇気さん(彼とは神戸226事件の後で朝まで語り合った)、高原伸子さん(彼女は神戸226事件に飛び入りでアヴェマリアを踊ってくれた)、小口美緒さんたちともゆっくり話すことが出来、日野さんが言われる「Real Contact」について、すこしわかった。
つまりは、舞台の上だけでは済まないのだ。
こうして飲んで食べて、話していても、ずっと「Real Contact」だ。
生きている限り、Contactが終わることが無い。
舞台の上でスポットライトを浴びるから魅力が出る、というわけにはいかない。自分が自分で光らなくては魅力など出ないということが、残酷なまでにはっきりと見えてしまう実験台…それが日野さんのしかける舞台なのだ。まるで顕微鏡に載せられ凹面鏡の集める光を差し込まれるプレパラートの上に立つような。

要するに「生きている状態(それは「生き方」などではなく、ただ生きている瞬間瞬間の状態だ)の質」が問われ続けているのだ。

それが見え出した時に、僕が22歳でセツ・モードセミナーに入学した初日に主宰の長沢節先生が僕達に話してくれた言葉を思い出した。それは概ねこんな内容だった。
「みんなの中には、ずっと絵を描き続けていく人もいるだろうし、絵を描かなくなる人もいるだろう。けれども、今日からは生活の真ん中に<美>をすえて生きて行くことになる。それができるかどうか、それだけが大事なことだよ。」

人は一人では光を発せないし、美しくなれない。それには他者とのリアルなコンタクトが必須だ。他者とまみえて、集団即興の一瞬一瞬の連続の中で、互い互いに光って、この世に美を成して行く… そのモデルが日野晃構成・演出・振り付け・出演の『Real Contact2011』なのだった。作品などではない。

http://www.real-contact.jeez.jp/

2011年05月20日

▼ 日野晃『Real Contact2011』初日を観て ▼


【第2部】
室町か、いやもっと中世? 古代か? 僕達が今とはもっと違うものを信じ、違うものが見えていた時に
失った、亡くした、大切な人の亡き骸を運ぶ道・・・
会いたい・・・ ・・・ 合いたい・・・ ・・・
僕達は息を吹きかけ、叫び、啼き、暴れ、狂うことによって、その人が甦る
毎年、毎年・・・何年先となっても、僕達が狂えさえすれば、その人がよみがえる
その確実さを、知っていた頃の自分の血の昂りを、思い出すことがあろうとは思いませんでした

大切な人を向こう側から呼び寄せるとき、亡き者の群れもまた、蜘蛛の糸をたどり始める。狂い、得られるものは、欲しいものだけとは限らない。ならば、さらに狂え! 狂え! 狂え! 浮ばれないモノどものために。満月を打ち鳴らし、世界が裏げえるとそこに! まっさらな太陽!!!
日野さん畏るべし

2011年02月05日

▼ ゼミ生達と元町映画館へ『バスキアのすべて』を観に ▼

映画を映画館で観るとき、その体験は日付・時間・場所そして人とともにある。
2011年2月5日17:00の回。元町映画館。『バスキアのすべて』・・・
ゼミの学生達と予定では13人で、実際にはプラス1 マイナス2 イコール12名で観た。その他の観客は1名だったようなので、映画館はほとんどゼミ室となった。終映後、館主が声を掛けてくださり、名刺交歓。次々と名物映画館が消えていくこの時代に、元町商店街にこんな映画館を開館するなんて凄い!
「若い方々にもっと映画館で映画を観てもらいたいんです」と館主。
これからゼミでしょっちゅう映画鑑賞をするつもりと告げ、喜ばれる。

上映に遅れそうになった学生がそれぞれ、走って来てくれて間に合ったのが嬉しかった。
僕も今でも映画に遅れそうなときは走る。映画を観るとは、その時を逃せばその「時」は又と得られぬ一期一会の逢瀬なのだ。走ったことも、一緒に観た人も、選んだ座席も・・・全てがその映画体験だ。

予告編を見るのも大好きだ。
次はみんなで何を観に行こうかな? 

元町映画館、いいラインナップばかり。こないだは初『エルトポ』体験をここで。春には『勝手にしやがれ』をかけるらしい。

http://www.motoei.com/

ずっと以前、元映があったのはちょうどこのあたりだろうか?『フェリーニの道化師』やパゾリーニ『ソドムの市』は元映で観たのではなかったかな。ピンク色の道化師のポスターを買ったなぁ。

▼ 水槽の内外の発泡酒 ▼

そのフォルムがぎりぎりのところ、きわきわのところでかろうじて成り立っているような場合にのみ、その内部から外部へ、愉快なエネルギーがプチプチと発泡し、その世界がシャンパンのように美しく愉しいものとなる。そのことはジャンルや形式を問わないのだとつくづく想う。
盟友ラジオ・ディレクター=中澤純一さんに誘ってもらってラジオ関西『寺谷一紀のまいど!まいど!』に出演しながら、収録スタジオのガラス水槽の内と外を満たす世界にそんなことを想った。中澤さんはそのつぶらな瞳で水槽の外からじっと中身を見詰めながら、フォルムに外から内から揺さ振りをかけていく魔法を身につけつつあるのだろう。思いのほか愉しい時間だった。笑った。

http://jocr.jp/blog/maido.php?itemid=11005

http://jocr.jp/blog/maido.php?itemid=11006

2009年12月18日

▼ 十四才の夢 ▼

大学。1年生の授業で「夢」をテーマとした作品の合評会。先々週、彼女は事前に「読んでおいてください」とプリントアウトを僕に渡していた。「十四才の夢」・・・それが彼女が14才のときに見た夢なのか、後に見た14才の彼女が登場する夢なのか、文面からは判然としない。
夢の中で彼女は小さな部屋の中で一人、天井まで届くような大きなキャンバスに向かい、脚立にまたがり、真新しい筆を手に、絵をまさに今描こうとしているその時、背後から男の声がする。彼女は「ちっ」と舌打ちして鋭い視線で振り返る。中年の長髪のさえない芸術家風の男が絵と心についてわかった風なことを言い「君は常に絵を描いているべきだと思うよ」と告げる。彼女はむしゃくしゃする。「みすかされているような、何もわかっていないような、とても正しいような、何もかも間違っているような」・・・むしゃくしゃした気持ちで彼女が再び舌打ちすると、壁が無くなり、キャンバスが無くなり、筆が無くなり、そして彼女が無くなる。男だけが残り、世界が無くなった・・・という。
彼女にとって14才は特別な歳だった、そうだ。学校へ通うのをやめ、その代わりに様様な人、モノ、事柄と出会い、聴き、見、読み、全てを吸収していく。絵を描きつづけてきた。、縁あってこの大学のこの学科へ入り、僕からこの課題が与えられた瞬間に、あの夢の絵を描く時が来たことがわかった、のだと言う。
合評会は教室で続いていたが、彼女の絵はその外に倒れていた。
「一人で立てられます」
身を切るように冷たく晴れた青空の下、彼女は絵を立てる。高さが4m、幅2mはあるだろうか。教室から背をすくめながら外へ出た僕たちに、彼女は告げる。
「これがその絵です」
僕たちは、彼女の夢のつづきに立ち会い、その夢に属していた。
十四才の夢を立てる

2009年09月09日

▼ 人間失格の神宮寺さん ▼

荒戸源次郎監督の角川映画「人間失格」の撮影現場ではキャストアンドスタッフのたくさんの方との出会いがそれぞれ濃厚なエピソードとして僕に刻印されたのですが、まあ映画公開まではぐっとこらえていようと思っています、が、出演者の一人、神宮寺太郎さんのブログのコメントを発見してしまい、これは皆さんにお披露目しちゃおうかな。
神宮寺さんは映画で石橋蓮司氏の息子役で、おもわず吹き出しちゃう存在感で演じてらっしゃいました。撮影最終日にはほとんど僕のデッサン・マネージャーとなってくれてその場にいる俳優さんたちを次々と紹介してくれて、おかげでM田GさんやO形Kさんや、I原Sさんやみなさんしっかりでっさんさせていただいてしまいました。神宮持さんは大阪で劇団ひこひこを主宰されている方です。次回公演は僕も観に行きたいです。
画像は撮影合間の汗だくの神宮持さんを描いたデッサン、くりそつですよ。

http://hiko2.livedoor.biz/
ちょっと下の方、9月5日のあたりに僕も出て来ます!
神宮寺太郎さんでっさん

2009年09月02日

▼ 日ヲ食ス ▼

僕が初めて沖縄へ来たのは、忘れもしない1987年の9月、23日の金環食を体験するのが目的でした。なにかのお店で煤着きの硝子板を借りて、国際通りの歩道から太陽が欠け行き、光の輪となって、また満ちて行く様を息を詰めて見上げていました。快晴でした。驚いたのは、歩道の地面に映る街路樹の木漏れ日のひとつひとつ総てが、食とともに欠けて三日月形と成り行き、道路全体が龍の身体のようになり、やがて光の輪模様となったことです。それはじりじりとまた鱗となり、通常の木漏れ日へと戻りましたが、その間、僕は「正しい時に正しい場所に」立っているという歓びに貫かれていました。その衝撃的な沖縄体験は旅の後、「日ヲ食す」「読書宮」「寄港」「ニライカナイへ」「月光のツイン」「珠」など一連の絵となり、僕の初めての画集『かごめドリーム ツル/カメ』の軸となりました。その画集を作ってくれたのが当時京都に住み、アート系の出版社の編集部に勤務されていた三枝克之さん、そうです、このカフェ・ユニゾンをされている三枝さんです。

金環食から22年。皆既日食の後の沖縄で展覧会を開催できることとなり、不思議な天地の計らい、人の縁の奥深さに感じ入る次第です。

あのとき金環食を見上げながら思ったのは、僕らは本当に太陽を食べて生きているんだな、ということでした。日食でなくたって、日日、僕たちは日を食して生きている、そんなイメージ。
あれからもずいぶんたくさん絵を描いてきました。沖縄の光の中で、僕の絵たちがどのように見えるのか、どのように在るのか、僕自身とてもたのしみな展示です。
どうぞごゆっくり、おたのしみいただければ幸いです。
感謝とともに 寺門孝之
あまうり天使の庭フライヤー裏
http://www.cafe-unizon.jp

2009年03月03日

▼ 3月3日のこと・・・ ▼

僕にとって人生でいちばん愉しいことは何か? それは「おたのしみ会」ではないかと思う。もっと正確に言うならば、「おたのしみ会の準備」が愉しいベスト。小学生の頃、おたのしみ会が好きだった。机を片隅へ押しやるか、廊下へ出してしまって、なじみのありふれた教室になにか愉しげな気配が降りて来る。日常から非=日常へ、あっけなくもダイナミックな転換。コントや歌や、ダンスや手品や、ゲーム・・・そして人形劇、楽器演奏などなどなど・・・。
まだ小学校1年生だった頃だと思うが、一度だけ、自宅で盛大なおたのしみ会を催したことがあった。3月3日のひなまつり会・・・。言うまでも無く僕は男で、家ではひなまつりを祝ってもらったことはなく、ひな人形もなかった。端午の節句の祝いに小さな兜のツクリモノがあったが、全くそそられなかった。何段もある赤いひな壇にずらりと勢揃いする雛人形が欲しかった。憧れてならなかった。それで僕は、ひなまつり会を企画し、丘の上にすむ仲良しの女の子と毎日放課後に家でひな人形作りに励みだしたのだった。色紙や画用紙、段ボールなどを切ったり折ったり貼ったりしてかなり大掛かりに。それを床の間に飾ってもらって、3月3日当日には、どうしてそんなことになったのか記憶がないのだが、何十人というクラス内外の子供達(自分も子供だったのだが)が家に集結して、床の間の前で出し物を繰り広げた合った。僕はゴーフルの缶をたたいてドラマーになり、友達とブルーコメッツのまねをしたと思う。そんな会をしたのはそれっきりなかったが、後年、展覧会の折などにあまり展覧会自体とは関係ないような出し物を企画しようとする根っこは、この3月3日のひなまつり会ではないかと思う。
日常の中で、虎視眈々と非=日常の準備をして、当日「おたのしみ会神」を降ろし、迎える・・・そんなことがベストに愉しい、今でも僕は。

ひさしぶりのおたのしみ会を 3月15日15時から開催します。場所は青山ブックセンター本店内、カルチャーサロン。どうぞ御参集ください!
http://www.aoyamabc.co.jp/10/10_200903/2009315.html
おたのしみ会ポスター